過酷な夜勤、達成感の減少が看護師の離職原因

結婚による転居の結果として現在務めている病院を離職するのはやむを得ないにしても、育児専念などの背景には、「このまま看護師としての仕事を続けていいのだろうか」、「一度リセットしたい」という気持ちが見え隠れします。

患者の予期せぬアクシデントに注意

都立病院の退職職員を対象としたアンケートを見ると、本当の離職理由が見えてきます。それは他の医療系の仕事に比べて、看護師は夜勤やサービス残業が非常に多いことです。心身ともに疲れたとか達成感がないというのが、中堅看護師が離職し、医療の現場に戻ってこない、いわゆる「潜在看護師」が増加する最大の理由といえます。

高齢者の多い病棟では、夜勤時にトイレやオムツの交換、発作等によるナースコールが頻繁に鳴るため、患者一人一人にあまり時間をかけていられませんし、転倒して骨折をすることもあるため気が休まりません。申し送り時刻である朝8時30分になっても業務が終わわないこともしばしばです。そのため、昼頃まで看護記録や書類仕事に追われる人もいます。

超過した時間の仕事は看護師長に申告できずに、サービス残業扱いになる病院もあります。また、長時間の労働がある看護師の夜勤によって仮眠できない状況が日常的になると、「ヒヤリ・ハット」(事故とのニアミス)、あるいは医療事故を起こす可能性も高くなり、仕事を続けていくうえでの大きな不安となります。

都立病院ではありませんが、以下のような不満を漏らす中堅看護師がいます。電子カルテが導入されて以来、看護師の看護計画の立案能力が格段に落ちたそうです。従来は患者ひとりひとりの容態を診て独自に行ってきましたが、それが出来合いのものになってしまいました。

看護職の職務満足度が低いのは、多忙のためにベッドサイドに行って患者のケアをすることができない、自分が提供したいと考える理想の看護が実現できないなどのジレンマのなかで失望感を感じるからです。育児中でも負担のかからない範囲で、自分の働ける範囲内で病院に勤める短時間勤務制度の導入が進んでおり、ワークライフバランスを実現できると看護師の間では評価が高まっています。

ある患者さんは、くも膜下出血で救急外来に運ばれたのに、その翌日にはもう転院先の病院を探すように家族に伝達が行なわれていました。その看護師は在院日数の短縮化を進める「退院調整」を担当していましたが、家族や地域の受け入れ体制はそう簡単ではないから難しいと感じました。